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はじめに
清拭が自分でできるかどうか、少しでも手伝ってもらわないと自立できないという事は、他人に恥ずかしい姿を見せなければならないということです。またきれいにできないと社会生活を営む上での障壁になりますし、皮膚トラブルなどを起こす原因にもなります。
参考文献
実践リハビリテーション・シリーズ 脳卒中の機能評価 SIASとFIM[基礎編]
実践リハビリテーション・シリーズ 脳卒中の機能評価 SIASとFIM[実践編]
1、採点のポイント(これだけは押さえておきましょう)
・身体部位を洗い、流しそして水分を拭き取るところまでが採点範囲。採点に関わる身体部位は頭部、背中以外の胸部、右上肢、左上肢、腹部、会陰部前面、殿部を含む会陰部後面、右大腿、左大腿、右下腿、左下腿である。
・身体部位は10ヶ所あるのでそれぞれを10%と考える。7ヶ所自分で洗っていれば、70%なので、50%以上75%未満なので3点である。
・本人が洗わず、介助者も洗わないで済ませている場合、その部位を除外して考える。切断などのある場合も同様。
・各部位を「洗っている」「洗っていない」と割り切って考えられない場合は、10ヶ所分割を使えないので、何%本人が洗っているかで判断する。
・滑り止めマットやシャワーチェアが必要な場合に、介助者に用意してもらったら準備の5点、自分で準備した場合は修正自立の6点、もともと施設の物品としてあるが、明らかに本人には必要でないと考えられるなら自立の7点と判断して良い。
・「洗う」動作と「拭く」動作とで自立の割合が異なるという場合には、低い方の点数を採用するのではない。低い方を採用するのは日内変動が生じている場合である。洗う動作では左上肢と左大腿の自立度が100%で、それ以外が50%、拭く動作では左上肢と左大腿の自立度が75%でそれ以外が25%とする。洗う動作と拭く動作が同一負担量の場合は、(100×2+50×8+75×2+25×8)÷20=47.5%となり、25%以上50%未満を自分でしているため最大介助の2点となる。
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2、具体的な採点例
点数 | 具体例 |
7点(自立) | ・身体の10ヶ所を洗う、すすぐ、乾かす(拭く)ことが自分でできる。
・足元を洗おうとせず、他は自立している。介助者は関与しない。 ・身体を乾かす目的でバスローブ(バスローブガウン)を用いれば、清拭が自立している(バスローブは「簡単に用いられる代替物』と考える) ・もともと施設の用具としてシャワーチェア、滑り止めマットが設置してあるが、特に使う必要がない場合。 |
6点(修正自立) | ・入浴の際、柄付きブラシ、ループタオル、入浴ミット、義手、上肢装具などの補助具の使用を必要とする。
・安全性の考慮のために滑り止めマットを敷くなどが必要であるが、自分で用意している。 ・身体を安定させるためにシャワーチェアが必ずいるが、それ以外は自立していて介助者不要である。 ・通常の3倍以上の時間がかかる。(私の施設では通常を10分と考えています) |
5点(監視・準備) | ・準備の時点で布を絞ってもらう。(準備)
・湯の温度調節ができないため、入浴またはシャワーの直前になって湯の温度を調節してもらう。(準備) ・タオルに石けんをつけてもらう。(準備) ・シャワーの流量の調節が必要(準備) ・浴室暖房のスィッチをつけてもらう。(自分でスィッチを押せない) ・拭き残しを口頭で指示してもらったら自立できる。 |
4点(75%以上、100%未満自分でしている) | ・身体全てに対して、たとえば各部位を洗う前にタオルをすすいでもらったり、毎度絞ってもらうなどの最少介助を要する。
・最後に少しだけ仕上げをしてもらう。 ・清拭中に何度も石鹸をつけもらう。 ・10ヶ所のうち8項目以上は自分でできる。 |
3点(50%以上、75%未満自分でしている) | ・身体すべてに対して、中等度介助を要する。
・80%を自分で洗うが、すすぎと乾かしは全て介助者が行う(洗うことは乾かすことよりも重視される)。 ・10ヶ所のうち5〜7項目は自分でできる。 |
2点(25%以上、50%未満自分でしている) | ・身体全体の洗い、すすぎ、乾かすことの半分以上を介助してもらっている。
・10ヶ所のうち3〜4項目は自分でできる。 |
1点(25%未満しか自分でしている) | ・10ヶ所のうち0〜2項目しかできない。
・全てにおいて介助が必要 |
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