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はじめに
人間にとって排便は生きていく上で必要不可欠な生理現象である。またそれを自分で管理できるということは社会生活を送る上で非常に重要な項目となっています。退院・退所後の生活を見通す上で自立というのは大きな意味を持ちます。
参考文献
実践リハビリテーションシリーズ 脳卒中の機能評価SIASとFIM[基礎編]
実践リハビリテーションシリーズ 脳卒中の機能評価SIASとFIM[実践編]
最低限押さえるべきポイント
排便の「失敗」と「介助量」の両面から評価し、二つの得点の低い方を排便の得点とする。排便管理の失敗は失禁していても、オムツに便を受け、自分で処理していれば失敗はしていないことになる。オムツの交換をしてもらっていれば失敗となる。失敗の採点はその頻度により行われる。
排便の介助の内容としては、座薬の使用、浣腸、摘便や排便中に身体を支える、おむつを替えるなど。
排尿・排便の失敗の採点(排便がない場合は、72時間を目安に排便があった日のなかでの平均的な状況で考える。72時間以内に排便がない場合は未評価扱いでその後の排便時の介助量で評価する)
得点 | 失敗頻度 |
7 | 失敗しない |
5 | 月1回未満 |
4 | 週1回未満 |
3 | 1日1回未満 |
2 | 毎日 |
座薬の使用に関して、負担量に配慮した特別なルールが設定されている
得点 | 使用頻度 |
7 | 座薬を使っていない
自分で座薬を使用している(月2回以下) |
6 | 自分で座薬を使用している(月2回より多い) |
5 | 座薬を挿入してもらっている(週2回以下) |
4 | 座薬を挿入してもらっている(隔日または毎日) |
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排便管理の具体例
点数 | 具体例 |
7点(完全自立) | ・オムツやリハビリパンツを使用せず汚したりしない。
・座薬を自分で用いる。(月に2回以下) ・便が出やすいようにサプリやヨーグルトを食べている。 |
6点(修正自立) | ・オムツやリハビリパンツを使用すると修正自立になる。
・浣腸、下剤は使っている時点で6点以下になる。 ・座薬は月に2回以上使うと6点になる。 ・看護師に便軟化剤を配ってもらっている(薬を配ることは日常業務で介助ではない。軟化剤を使っていることで6点) ・便失禁するが、紙おむつを使って自分できれいにしている。 ・自分で座薬を使っている(毎日使っていても自分で挿入している) ・浣腸を自分で行なっている。 ・人工肛門内の便の廃棄やバッグの交換が自立している。 |
5点(準備、監視) | ・月に3〜5回座薬を介助で使う。(週に2回以下)
・1日おきに座薬を用いて排便しており、毎回座薬の準備をしてもらうか、監視が必要である。 ・定期的に下剤を服用するのではなく、その都度調整を看護師が行なっていれば監視になる。 ・日中はトイレで自立だが、夜間はポータブルトイレを準備してもらって失敗はない場合(準備で5点) |
4点(75%以上100%未満自分でしている) | ・座薬を挿入してもらい、自分でトイレに行って排便を行う。失敗は週に1回未満である。
・失敗はないが排便動作の20%程度手伝ってもらっている(失敗7点、介助量4点なので低い方の4点) |
3点(50%以上75%未満自分でしている) | ・失敗は10日に1回程度ある、自分で排便動作の50〜75%行う。(失敗は4点、介助量は3点レベルなので低い方の3点となる)
・失敗は1日1回未満、自分で排便動作の50〜75%行う。 |
2点(25%以上50%未満自分でしている) | ・失敗は週に1回未満である。下剤を使用しても出にくく、浣腸の介助を行う必要がある。患者は姿勢を保持する協力をしている(失敗では4点、介助量は2点レベルなので低い方の2点となる)
・毎日失敗はするが、取り替えの依頼はできる。 ・人工肛門の取り替えの依頼ができる。 ・便失禁の後始末の介助は全くいらないが、浣腸の施行は全介助。 |
1点(25%未満自分でしている) | ・ほぼ全介助。毎日失敗する。取り替えの依頼はできない。
・人工肛門の交換を依頼できない。 |
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