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はじめに
服を着替えるということは、その時々のシチュエーションに応じて着る服を選択する必要があり、社会生活を送る上でも非常に重要な行為である。身だしなみでその人の第一印象は決まるし、オリジナリティー、アイデンティーの表現にもつながることである。自分で更衣ができないと外出することもできなくなります。
参考文献
実践リハビリテーション・シリーズ 脳卒中の機能評価 SIASとFIM[基礎編]
実践リハビリテーション・シリーズ 脳卒中の機能評価 SIASとFIM[実践編]
採点のポイント(これだけは押さえておこう)
・この項目では腰より下の更衣、および着用している場合には義肢、装具の着脱も含む。ただし装具は主な更衣動作ではないので介助で装着しても5点までしか下がらない。
・着ることと脱ぐことが採点動作であり、その前後の服の取り出し、服をしまうことは、準備の段階となる。入浴前後の着脱は特殊状況なので、採点しないことになっている。ただし入浴前後しか着替えない場合はしかたなくその状態で評価する。
・パジャマを脱ぐ時は80%自立しており、衣服を着る時は50%自立している場合には、平均して良いこととし、50%以上75%未満を自分で行なっているため中等度介助の3点となる。しかし日内変動に関しては悪い方で採点する。
・下半身でも義肢・装具・自助具の装着を更衣の項目で評価する。歩行のために用いる短下肢装具の装着が介助されていれば、そのことで更衣(下半身)の点数は5点まで下がるが4点以下にはならない。当然ながら短下肢装具を自力で装着していれば、更衣の項目を減点する必要はない。血栓予防や浮腫軽減目的の弾性ストッキング装着も、装具と同様に扱う。
・紙オムツやリハビリパンツ(リハパン)、尿とりパッド(尿パッド)も衣服の一種とみなし、更衣(下半身)の採点に含める。失禁した際の取り替えは、更衣動作ではなく「排泄コントロール」の項目で評価する。紙オムツは面ファスナーや粘着テープのつけ外しが必要となるため、難しいものと判断されており、オムツのみ介助を要する場合には、5点までしか下がらないと決められている。
・リハパンや尿パッドは着脱が難しくないので、下着のパンツと同様に考えて採点する。リハパンや尿パッドを使用していても、介助が不要な場合には修正自立(補助具使用)とはならず、自立の7点と採点する。紙オムツなどは、更衣動作を助けるための道具ではないからである。
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実際の場面での具体例
点数 | 具体例 |
7点(完全自立) | ・市販のベルクロ留めのスニーカーを用いている(余計な費用なしに買える)
・着替える衣服を施設側が毎回準備する決まりとなっている場合、明らかに準備も含めて自立可能と考えられる場合。(基本的には準備も含めて自立) ・安全性の配慮は必要ないが、本人の好みによって臥位で着替える場合。 |
6点(修正自立) | ・自立しているが、補助具(ファスナー引き上げ器、更衣棒、リーチャー、靴下介助器、上肢義肢装具)または下肢の改造衣服を必要とする。
・更衣動作は自立しているが、手すりが必要な場合。 ・立位ではふらつくが座位で行えば自立する |
5点(監視・準備) | ・衣服を準備すれば、更衣自体は自立している。
・弾性ストッキング(装具と同様に考える)を介助してもらうが、ほかの更衣は自立している。 ・紙オムツを使っており、それだけが介助で、ほかの更衣は自立している(装具と同様) |
4点(75%以上100%未満自分でしている) | ・ズボンの片足を通してもらうことのみの介助である。
・靴ひもを結ぶことだけを介助してもらっている。 ・更衣動作に介助は必要なくても更衣中に体を支える介助を少し行った。 |
3点(50%以上75%未満自分でしている) | ・下着、ズボン、靴下、靴の場合、下着とズボンは足に通せて上げられるが、靴下、靴を介助してもらう。 |
2点(25%以上50%未満自分でしている) | ・介助者がパンツやズボンを膝まで通すと、残りを自分で行う。靴下と靴を介助してもらう。 |
1点(25%しか自分でしていない) | ・患者は衣服を引き上げてもらう際に、左右に転がる程度以下しか行っていない。 |
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