はじめに
トイレ動作は1日に何回もあり、そのたびに介助が必要ということは本人も介助者も負担のかかるところです。また自身の排泄物を他人に見られる、匂いを嗅がれるというのは、本人も介助者も精神的な負担が重いことです。外出制限にもつながり社会性を失われていく結果になるでしょう。
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参考文献
実践リハビリテーション・シリーズ 脳卒中の機能評価 SIASとFIM[基礎編]
実践リハビリテーション・シリーズ 脳卒中の機能評価 SIASとFIM[応用編]
1、これだけは押さえておきたいポイント
・トイレにおいて服を下げる(33%)、お尻などを拭く(33%)、服を上げる(33%)、の3動作をしているかどうかで採点。水を流す動作は含まれない。
・会陰部の清潔及びトイレ、または差し込み便器使用の前後で衣服を整えることが含まれる。
・ウォッシュレットは普及しているものなので補助具とは捉えず、減点の対象にはならない。
・排尿動作と排便動作は異なるが、低い方の点数を採用する。特に男性の排尿動作は通常は拭く動作がないので排便動作も含めて評価する。
・リハビリパンツと尿パッドは、通常の下着と同様の扱いとする。(紙オムツは補助具として考える)
・ポータブルトイレと通常のトイレで排泄する場合とでトイレ動作の介助量が異なるという場合は、普段している方で採点する。
・トイレに関連する項目がFIMには4つあります。それぞれをうまくすみ分けて評価、採点する必要があります。下の表にまとめています。
移動 | トイレ移乗 | トイレ動作 | 排尿、排便管理 |
トイレに行く
トイレから帰る |
便器に移る
便器から立って移る |
服を下げる
拭く 服を上げる |
括約筋を緩める
後始末をする。 |
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2、具体例
点数 | 具体例 |
7点(完全自立) | ・ストーマの管理の前後に衣服を整えており(単にシャツやセーターを上げ下げする)ストーマを清潔にしている。
・ポータブルトイレを使って自立している。 ・紙オムツやリハビリパンツ、尿取りパッドを使用していても3つの要素が自立している場合。 |
6点(修正自立) | ・装具を自分で装着してトイレ動作が自立している場合。
・手すりにつかまることで、排泄後自分で拭いており、服の上げ下ろしをしている。 ・義足をつけているが、完全に自立している。 |
5点(監視・準備) | ・紙オムツの上げ下げに介助が必要だが、ズボンの上げ下げや拭くことは自立している(紙オムツは補助具として扱う)
・介助者が拭く紙をあらかじめまとめて折っておく。 ・生理用品の介助は必要だが、通常の上げ下げ拭くことは自分でしている。 |
4点(75%以上100%自分でしている)最小介助 | ・尿パッドの交換や位置の修正のみを介助した場合。
・拭いたり着衣を直す時にバランスを崩さないように支えてもらう必要がある。 ・たまにファスナーの上げ下ろしなどを手伝ってもらう。 ・自分で拭けるが、拭き残しがある時がある。 |
3点(50%以上75%未満自分でしている)中等度介助 | ・排泄後の清潔を介助してもらい、ズボンのファスナーを上げる程度の介助をしてもらうがほかは可能。
・ズボンを下げてお尻を拭くことはできるが、ズボンを上げるのに介助が必要となる。(66%自分でしている) |
2点(25%以上、50%未満自分でしている)最大介助 | ・ズボンは下げるが、排泄後の清潔介助をしてもらい、ズボンをあげてもらう。(33%自分でしている)
・ズボンを下げるのを半分手伝ってもらい、排泄後の清潔介助、ズボンを上げるのも半分手伝ってもらう(約33%自分でしている) |
1点(25%未満自分でしている)全介助 | ・排便後拭いてもらう。排泄前後の衣服の上げ下げの際、身体を左右に動かすのみ。
・トイレ動作は、日中6回FIM6点レベルで行うが、夜間は2回FIM1点レベルで行っている。 ・全く自分でできない。 |
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